どうも。
ハードパンチャーしんのすけです。
ジャグリングをやっていて昔から思うのは、
音楽の持つ力強さとでも言ったら良いのでしょうか、
「表現」(音楽、ダンス、絵画、文学、そして、(自分の関心事に引き寄せると)ジャグリング…などなど)と呼ばれるもののうち、音楽はとりわけ感情に訴えかける力が強いように、私は感じます。
もっとも、それは音楽を使って「表現」するひとの数が極めて多いので、その分優れた表現者が多いだけなのかもしれないし、人類史的に発生がより古いことに起因するかもしれないし…むにゃむにゃ…でも、やっぱり音楽には感情に身体に力強く響くものがあるようなぁ。
仮に、音楽が他の「表現」にない力強さを持っていることを認めたとすると、
音楽にあって
ジャグリングにないものはなんだろう。
そんな疑問を持ち続けていました。
ジャグリングとはなんだろう、という問いを考えると、割と切実な問題であるように思うのです。
そんなこんなのヒントになるかな、と読みました。
こちら。
「歌」を語る 神経科学から見た音楽・脳・思考・文化(ダニエル・J・レヴィティン)
本書の帯には
音楽はどのように始まり、何のために生まれたのか?
とあります。
ダイレクトな答えがあるかどうかは、さておき、これは期待高まる。
筆者は、ダニエル・J・レヴィティン。
音楽プロデューサー、ミュージシャンという経歴を持つ神経科学者です。
筆者は言います。
人類の進化に寄与した歌は6種類しかない。
即ち…
- 友情
- 喜び
- 慰め
- 知識
- 宗教
- 愛
音楽はこれらの要素に関してひとの生存上有利な点を持ち、音楽で表現されることでこれらの要素は強化され、人類が今あるように進化していった…というのが、(乱暴ですが)筆者の考えになります。
だから、音楽は特別である。
うん、なるほど…説得力があるような、ないような…
…と読み終わって、若干もやもやしていたのですが。
訳者・山形浩生(評論家、翻訳家)による訳者解説を読んですっきりとしました。
曰く
実は音楽が人にとって持つ意味というのは、はっきりとした定説があるわけではなく、本書の立場もその一つにすぎないのだ。
(本書 p.411より)
その上で、音楽と進化に関する諸説を列挙・解説します。
おかげで、音楽と人間の関係について、今ある説(と言っても、本書が翻訳されたのは2010年だけれども。今はどんなかな。)を俯瞰できました。
うーん、音楽と人間。
あるいは、ジャグリングと人間。
これらの関係が「わからない」ということがわかりました。
「わからない」とは素晴らしい。
音楽を楽しみつつ、
ジャグリングを楽しみつつ、
その魅力の素に思いめぐらせ、じっくり味わうのも良いな、と思いました。