1980年代の大道芸—「大道芸イキイキ空間」(高田佳子)

どうも。
ハードパンチャーしんのすけです。
大道芸の歴史を知ることが好きです。
自分が携わる分野の成り立ちを知ることで、今見えている景色が違って見えることがあり、それが歴史を知る楽しさの一つだと感じます。

そんな中出会い、興味深く読んだ一冊を紹介します。

私がジャグリングに初めて挑戦したのは、1995年の年末であったと記憶しています。
数えてみるとおおよそ23年、ジャグリングと付き合っていることになります。
人生の半分以上をともに歩んでいるわけで、
これだけ長きにわたり楽しめるものに出会えたのは、実に幸せだなぁ、と感じ入ります。

最初のきっかけは、
ショーを見て憧れて…
というのではなく、ピーター・フランクルさんが、当時連載していた受験雑誌のコラムにて3ボールカスケードのやり方を紹介していたのを読み、
やってみよう!
と思ったからでした。

…なので、実際に生でジャグリングショーを観たのは、ジャグリングを始めてから半年近く経った翌年、春。

野毛大道芸です。

その時に身体を駆け抜けた興奮は、私がその後大道芸を始める時の源泉のひとつです。
大道芸ってすごい!
…強く思いました。

それが90年代も後半のことですね。そんな訳で、私はそれ以前の大道芸をめぐる空気感を知らない。

今ある大道芸(ストリートパフォーマンス)の流れは、バブル期に由来する…という、ざっくりとした印象がありましたが。

今回読んだ「大道芸イキイキ空間」(高田佳子著,学芸出版社,1992)には、1980年代を中心に、筆者が手掛け、観た「ストリートパフォーマンス」の姿が記録されていて、とても興味深く読みした。

「大道芸イキイキ空間」(高田佳子)

どんなひとが書いたの?

著者は、高田佳子さん。

海外でのストリートパフォーマンスに触れ、そして、魅力ある空間には必ず大道芸人がいるように感じ始めます。「大道芸人がいる空間は、必ず魅力的だ」という仮説を抱くようになり—

魅力ある空間をつくるためには、大道芸人を呼べばよいのでは?

…様々な施設やイベントにて、大道芸人を呼んで行くのです。

本書では、その成功や試行錯誤から、にぎわいをつくる実際的なノウハウが語られています。

ちなみに、筆者は、現在は、「日本笑いヨガ協会」の代表。「笑顔」をつくることに、どこまでもパワフルなひとのようです。

すごい。

1980年代の大道芸

「大道芸」
と言っても、日本の大道芸の流れは複層的です。

一つには、伝統的な大道芸…口上芸であったり、物売りあったり。
故 小沢昭一さんが蒐集・記録した著作には、その姿が残っています。
例えば、(扱っている内容は路上の芸能に限りませんが)「芸人の肖像」なんかは、入手しやすく読みやすいかと思います。

そのような従来の「大道芸」から「ストリートパフォーマンス」が入ってきたのがおおよそ1980年代。
ちなみに、大道芸人であり大道芸研究家である上島敏昭さんによると、パフォーマンスという言葉が、今のように芸能的な意味を持って使われるようになったのは、80年頃とのことです。(正確な年数を失念していましたが…)
このことは第一回両国パフォーマンス学会にて、
大道芸からパフォーマンスへ・・・その連続性と断絶と
というタイトルにて発表していただきました。

そんな時代の変わり目に当たる時期の
筆者の仕事や体験、見聞に基づく記録がたっぷりと記されています。

その中には、
商業施設や博覧会への海外パフォーマーの招聘に関すること
などに加え、
野毛大道芸や大須大道町人祭
に関する記述を含みます。

当時、どんなパフォーマーが出演していたのかもあり、とても興味深くみました。
現在も現役の方もちらほら…すごいことだ。

また、執筆当時立ち上がった大道芸ワールドカップへ向ける期待の言及もあり、
そこから、大道芸ワールドカップの変遷やヘブンアーティスト制度に端を発する大道芸環境の変化…などなど、思いを巡らす読書体験でした。

本書の副題が
「にぎわいつくりの全ノウハウ」
となっている通り、主眼は、ストリートパフォーマンスを用いた空間つくりの実際やアドバイスに関するところにあるのでしょうが、
今読むと、当時を知る良い資料となっています。
はじめにあるパフォーマーのカラー写真を観るだけでも楽しい。

そして、何より大道芸への個人的な愛が光っている。
そんな一冊です。

1980年代の大道芸—「大道芸イキイキ空間」(高田佳子)” への1件のコメント

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