「都市の舞台俳優たちーアーバニズムの下位文化論の検証に向かって」田村公人

芸能で生きて行くには—
ということは、その道に携わるひとには切実な問題です。

一方で、私を含め、ジャグラーあるいは大道芸人の多くが、一度は受けるであろう質問が
「ジャグリング/大道芸で食べて行けるの?」
ではないでしょうか。

そんな「芸能で生きる」ということの生の姿を、小劇場で活動する特定の演劇人を観察、記録、考察をした都市社会学が展開されているのが本書。
その観察期間たるや、実に長い年月!具体的に言えば、1999〜2012にわたる、10年以上の年月!

読み終わって、その実体が切実に迫って来るとともに、文化活動の在り方や地域での文化形成の在り方に問題意識が沸き上がってきました。

実際に演劇人の知人も少なからずいる私からすると、彼らにそんな生活をしていたのか、とも改めて思いました。
それととも、まわりの演劇人は、今、「劇団」や「メディア進出」という形を離れて、独自の工夫で演劇を生業としていたりします。

そんな「演劇」で生きて行く様々な姿も、「都市」で生きる姿の形として、エスノグラフィを読みたい。

本書の主題として「下位文化の衝突」という既存の理論を検証し、そこに課題を見出すことがあります。
読んでみて、都市社会学というジャンルに興味を持ちました。

「下位文化の衝突」ということの実際は本書を読んでいただくとして、「下位文化の衝突」ということが、うまれた文化的なコミュニティを強くもし弱くもし、多様な都市の景色を描くのでしょう。
そんなことを思いめぐらす体験は楽しかった。

今回紹介した本は、演劇にターゲットを絞っていますが、大道芸をはじめとして路上のエスノグラフィに興味がある方は、こちらもお勧めです。
東京都の大道芸ライセンス「ヘブンアーティスト」が始まった頃の大道芸人の生の声や、路上で展開されるアートの姿が記録されています。

都市において、パフォーミングアーツがどのように息づくのか。
また、まちにパフォーミングアーツがどのように貢献できるのか。
そんなことを考えるのに、もっと「都市」「まち」ということに思いめぐらせたいな、と思います。

そんなきっかけとなる本書でした。

「都市の舞台俳優たちーアーバニズムの下位文化論の検証に向かって」田村公人” への1件のコメント

  1. ピンバック: 「ひらく美術: 地域と人間のつながりを取り戻す」北川フラム | 大道芸・ジャグリング「ハードパンチャーしんのすけ」公式サイト

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です